2013年2月28日 星期四

朝日新聞デジタル:天声人語


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2013年2月28日(木)付

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 通勤電車のマスク顔は、風邪か、花粉症か。一難去ればまた一難の季節の変わり目、潤む目鼻に春めく喜びも中ぐらいな2月の言葉から▼東日本大震災から2年の日が近づく。岩手県大槌町の寺に納められる梵鐘(ぼんしょう)の火入れ式が滋賀県のメーカーであった。住職の大萱生良寛(おおがゆうりょうかん)さんは「犠牲者を悼む鎮魂の鐘にと考えていたが、希望の見える鐘になればという気持ちが芽生えた」。3月11日の法要で被災した人たちが突き初(ぞ)めをする▼「原発さえなければ」「ごめんなさい」と書き残して命を絶った酪農家の家族が損害賠償の裁判を起こす。妻の菅野バネッサさん(34)が涙で言う。「お父さんは悪くないのに、何でごめんなさいなの」▼天井が崩落した山梨県の笹子トンネルが約2カ月で全面開通した。遺族のひとり石川信一さん(63)が「中央道は大動脈で、開通を急ぐのは十分わかる。ただ、あまりにも早い」。何ごともなかったかのように、9人死亡の現場を車が行き交う▼「これからの日本は、スピードの落とし方を本気で考えなければ」と言うのは藤本智士さん(38)。遅いことやミスをとがめ合う時代に一石をと、大阪のおおらかなニュースを集めた壁新聞を始めた。「『かまへん』というゆるさを取り戻したい」▼名古屋の街をSLが走った。機関士の青山智樹さん(34)の言葉がいい。「人間がつくった乗り物で、一番人間に近い。しんどそうに坂を上ったり、楽に走ったり」。人間らしくやりたいナ――古い妙句がふっと浮かぶ。



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